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ドックベストセメント(Doc's Best Cements)による新歯科治療

ドックベストセメント

アメリカ発のこの製品は「ドックベストセメント(Doc's Best Cements)」という名称です。
銅がわずかに配合された抗菌性セメントです。

このセメントをむし歯に作用させることで虫歯の中に潜んでいる細菌が死滅するだけでなく、柔らかくなった歯の質も再石灰化が急速に起こるため、半年~2年後に再度その部分を開けてみると中がカチカチの硬い歯質に戻っています。

もちろん、硬くなった歯の質には抗菌性が付与されているわけでその後虫歯になりにくく、しかもつめ直しもできます。

テレビや雑誌・書籍でおなじみの3MIX法(=3種類の抗生物質を混合し、ペースト状にして虫歯の中に一定期間封入し、虫歯の中のすべての細菌を死滅させることで、必要以上の歯を削らずに救済する治療法)は現在かなり有名になりましたが、この方法はその考え方そのままに、抗生物質の代わりに無機質のセメントで行っているのが画期的と言えます。


■ ドックベストセメントの利点・欠点

大変に素晴らしい材料・方法であることは間違いありませんが、これですべての虫歯が救済できるわけではありません。そのところを利点・欠点に分けてご説明いたします。


ドックベストセメントの利点

  1. むし歯をあまり削らないで処置が可能

    特に入口は小さく、中が果てしなく広い虫歯には最高の威力を発揮。痛みのない、しかし虫歯が大きくなってしまった歯は、むし歯をしっかり取る刺激だけで戻らない強い痛みが出てしまうことが多いのですが、その可能性がかなり減らせます。

  2. 麻酔注射がほとんど必要ない

    麻酔をすること自体、歯の内部を陰圧にしてしまうために神経によくないのですが、大きなむし歯を徹底的に取り除くのはふつう麻酔なしでは無理。しかし、この方法ではすでに崩れている歯の表層近くしか削る必要がないため、極端な痛がりの方以外はほぼ麻酔が必要ありません。

  3. 歯の神経を取らずに済む

    痛みがなくとも、むし歯自体を取りきってしまうと、同時に神経に達する穴があいてしまい、仕方なく神経を取ることは今までの治療では頻繁にありましたが、この治療法のおかげでほとんどその心配がなくなりました。特に子供~学生のような若い方の急速に進んだ虫歯の処置に今まではいつも悩まされていましたが、現在は大変簡単に処置を終えることができてとても幸せです。(神経を取ってしまうと歯は極端に弱ってしまうと同時に、神経自体をすべて取りきれるという保証もないため、常に再発の危険歳を抱えることになります。)

  4. 知覚過敏の歯にも抜群の効果

    むし歯がないのにキリッと痛む・しみる「知覚過敏」にも、このセメントを溶かした薬剤を塗るだけでピタッと痛みやしみが治まることがあります。(高周波治療器を併用します)

  5. 簡単操作・セメントの抗菌性は長持ち

    一度つめたドックベストセメントは硬化後も抗菌性が持続し、その効果がほとんど弱くならないため、3MIX法と比べて簡単で、しかも3MIX法のように①薬剤の保存方法を厳格に守らないといけない②使用後数日で薬効が消えてしまう③水分が混じると薬の効果がすぐになくなってしまう④薬の層が固まらず、空間を歯の中に残してしまう…などの問題点が全くない。

ドックベストセメントの欠点

  1. 健康保険が使えない

    この治療法は現在の日本の保険適用項目にないために、経過観察を含めてすべて自費治療となってしまう。(これは3MIX法も同様です。また、歯科医院の収益の問題で、この治療にかかる費用を極端に安くすることは難しいと思われます。なぜなら、かなりの割合でドックベストセメントをつめて経過観察あるいは積極予防で経過観察になってしまうため、本気で取り組む歯科医院自体の経営破たんをきたしてしまうから。)

  2. 経過観察が欠かせない

    極端に大きくなった虫歯を対象とした場合、術後の状況変化をしっかりチェックしないと中で神経が死んでしまったりしても見逃してしまうことも起こりうる。すべてのむし歯を必ず救えるわけではないため、治療を受ける患者さんの理解と協力が何よりも大事。

  3. 痛みの強い歯・すでに歯の大部分が崩壊している歯には使えない

    痛みのある歯に無理に使うと、治るどころが症状を悪化させてしまいかねない。また、神経が大きな問題を抱えている場合、術前に痛みがなくとも術後に痛みが出てしまうこともまれにある。

  4. 見た目が気になる場所の虫歯には使えない

    変色・着色した虫歯でも取りきらないため、歯の健康よりも審美的欲求が強い場合にはお勧めできない。また、大きな虫歯の保護のため、ドックベストセメントをつめた上を仮のセメントや樹脂で覆ってあまり対向の歯と接触しないようにして経過観察に入った場合、半年~2年程度経過後に再修復になるが、そういうスパンでの治療が面倒だと思われる場合はお勧めできません。

  5. 明らかに適応症かどうかの基準が明確ではない

    どんな治療においても言えることですが、個々の状況に対応する完璧な基準は存在せず、またこの方法自体、よりチャレンジ的に歯の質の保存・神経の温存を狙ったものなので、中には(まれにですが)症状が悪化して神経を取らなければならない場合も出てきます。ただ、この方法にチャレンジしなければもともと神経を取らなければならない状況だったという場合がほとんどなので、かなりの割合で神経を残し、歯の質の量の消失を防げるこのセメントは大変ありがたい存在です。


以上ですが、やはり一番の問題点は「健康保険が使えない」ことでしょう。

また、従来の治療の代替としての位置づけとなるため、費用は最低限それらの収益をカバーする程度の設定にせざるをえません。

このあたりがネックとなって、これらの「良いとわかってはいるけれどメジャーにはならない」治療法が多いのでしょうね。

実際、今現在でもこの方法を取り入れている歯科医院は宇都宮にも、もちろん鹿沼にもほとんどありませんが、当院では患者さんの歯を守るためによいと思われるものはとにかく積極的に取り入れておりますので、こちらの治療法もぜひご利用ください。

以下に費用(保険外)についての詳細を掲載いたします。

ドックベスト
セメント法
費用(税込) 説明・注意事項
初診料 2,000円 当日に他の保険診療が必要な場合、初診料は必要ありません。
再診料 1,000円 当日に他の保険診療が必要な場合、再診料は必要ありません。
ドックベスト
充填
10,500円 虫歯の外層をわずかに削り、消毒・ドックベストセメント充填・最外層の仮封鎖が含まれます。また、あまり多くはありませんがその日のうちに最終充填まで可能な場合、ドックベストセメント充填料に加えて最終処置(コンポジットレジン充填)の半額(5,250円)が加算されます。
レントゲン
1枚(小)
500円 初診時・経過観察時に必要です。保険での撮影はできません。
経過観察時はレントゲンでの神経や虫歯の状況のチェックに加えて症状の有無の問診・仮封鎖の状況を確認し、もし問題が発生していた場合は追加処置いたします。仮封鎖の破損の修復についての費用は再診料に含まれます。
飲み薬の処方料 随時 必要に応じて処方いたします。保険での処方はできません。
最終処置 10,500円 半年~2年程度観察の後、コンポジットレジン(白い詰め物)で充填した場合。経過観察の間隔はむし歯の状況にもよりますが、おおむね2ヶ月~半年が目安となります。

※仮封鎖の場合、むし歯の大きさ・深さなどの状況により、半年~2年程度の経過観察後に良好と判断した時点で最終の詰め物をしますが、虫歯の状況により(型をとり、後日金属をかぶせる必要がある場合)は別見積となります。また、虫歯がそれほど大きくない場合はそのまま本充填又はその回は治療せずに徹底予防で経過観察となることがあります。

(要するに、かなり大きな虫歯になるまでは予防で勝負することになり、治療からの収益が見込めなくなるので残念ながらあまり安価に治療費を設定できません。また、治療からの収入を得られなくなることに不安を抱いたり、長期観察のわずらわしさのためにこの治療法の導入に踏み切れない歯科医院がほとんどだと思います。)


ドックベストセメントはどんなむし歯にも有効?

ドックベストセメントは非常に抗菌性の強いセメントで、しかも固まった後も長期間持続して抗菌性を保つため、かなり広い範囲の虫歯に応用可能です。

しかし、すでに痛みが出てしまっている場合や、痛みがなくともすでにむし歯の菌が神経に入ってしまっていて、化膿している状況では使えません。この場合は今までの「削る」治療をせざるをえませんが、その区別が非常に難しいです。

ですので、この方法を使うかどうかは実際、常に患者さんとの話し合いの末に決定しております。(健康保険が利かないこともあり、この面からもしっかりとお話をさせていただいたうえでやらせていただいております。)

ご希望の方はぜひ一度ご来院下さり、現在の状況を拝見させていただければと思います。

(※カルテをお作りする際に必要になりますので、かならず健康保険証をお持ちください。また、本法適用不可の場合、診療をお受けいただく際は健康保険適応となります。)

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